グランドゴルフに出会ったのは移住して2年後でした。母親の介護をして仕事も持つ妻は毎月関東から来島して1週間から10日程度滞在します。一緒に近所にあるあやまる観光公園へ行った際、小さなグランドゴルフ場を発見したのがきっかけでした。入場料520円だけで1日愉しむことができるのは実にリーズナブルでした。妻は元々ゴルフを嗜むのでボールの感触にすぐ馴染みました。けれど私は35年ぶりなので、ダフったりボールの芯になかなか当たらず、勘を掴むのはそれはそれは大変でした。
移住後、1年半勤務していた公立小中学校の仕事が雇い止めになってしまったものですから、暇になってしまいました。なので毎日雨の日以外はあやまるゴルフ場で毎日1人でグランドゴルフばかりするようになりました。黙々とひたすらやるって感じです。ところがそれは言葉で言い表せないくらい愉しいもので、何かとてもワクワクした「いいもの」を見つけたことに気づきました。大袈裟ですが「奄美へ来たのは、グランドゴルフを愉しむために移住してきたのか」と思うくらい夢中になってしまいました。私はゴルフ場に来ている人たちの中では一番若い位です。高齢者のスポーツのイメージがあり少し恥ずかしくもありましたが、私は黙々とやり続けました。
振り返ってみると、移住後すぐ半年くらいで私は軽度の変形性膝関節症になってしまいました。島の田舎は車社会で全く歩かなかった為です。毎日両膝が激痛で寝られないくらい酷い症状でした。医者ではヒアルロン酸注射をした方がいいとDr.に言われましたが断っていました。作業療法士に軽い散歩を勧められ、1年間は雨の日でも約6kmをほぼ毎日歩いてました。痛みが酷く杖をついて、足を引きずりながらカッパを着て背中を丸めて歩いてる姿は実に痛々しく、村人は奇異な目で見ていたようでした。奄美は日本一降雨量が多い場所です。カッパをびしょ濡れにして歩き続けました。
それがグランドゴルフをやるようになって、めきめき膝の痛みが取れて(教わったリハビリ運動は毎日やりましたが)愉しくなってきました。それは不思議なくらいでした。痛みがなくなるのは嬉しいし、歩数も8000歩近くいくので体力も徐々についてきます。しかし相変わらず知り合いは1人も居ません。皆グループでやっていますが、その横で私は黙々と1人歩きボールを打ち続けます。そうこうしているうちに、可哀想に思われたのか、新顔の若い私にグループから「一緒にやらないか」と声がかかるようになってきました。背が高く新顔だしだいぶ噂にはなってたみたいです。知らないうちに私の名前、生年、住居、出身地は皆に知れ渡っていました。これが島の特徴でもあります。そのことは知って損は無いです。長くなりました。この続きは(3)で書きたいと思います。