奄美の住宅をどのように手に入れるか?(1)

移住の最大のネックはここに尽きるでしょう。奄美移住を考えた人の大部分の人がこの壁を乗り越えられず移住を断念します。

それは全くその通りなのです。都会で普通にある流通市場が奄美にはないのです。それでも移住したい人は様々な手段を講じて知恵を出さなければなりません。

結論から先に言います。空き家は実に多くありますので、その空き家を自分たちで補修、リフォームして住む、という方法は少し奇抜な感じがしますけれど、実際は理に適った考え方だと最近は感じます。

奄美大島で一番人気の、人口役5000人の龍郷町で「地域おこし協力隊」で移住支援の仕事をしていた人の話です。トータル3年間で約30組の移住者をお世話し地域定着して頂いたたそうです。龍郷町はもっとも移住者が住みたいと思っている場所であると同時に、奄美の中でも様々な施策が進んでいる自治体と感じます。不動産屋とは組まず、自治体が積極的に空き家対策としてNPOが介在しますが、古くなった空き家を斡旋しているのです。これはかなり先進的な取組みと言っても過言ではありません。

その30組の殆どは、空き家を低価格(例えば5000円とか10000円とかという)賃料で借ります。畳が古くなっていたり、水回りがダメになっていたり、雨漏りがしているとかケースは様々ですが、空いた時間を使って少しずつ1ヶ月とか2ヶ月かけて素人のやり方で構わないので、材料を買ってきて自分たちの使いやすいようにリフォームします。費用は30万円、50万円、多い人でも100万円かけたら結構な素晴らしく使い勝手のいい、満足した家になりますね。見違えるようになった家を私は何度も見ています。

「そんなこと言ったって、工作、大工は苦手だよ」そうですよねー。でも近所の人が手伝ってくれたり、場合によって地域おこし協力隊が教えてくれますよ。素人から始めたのに段々と凝りだして、実はその大工作業ににハマってしまう人も多いようですよ。

この件について、少し別の角度から考えてみます。住宅のマーケットは名瀬中心街に特化されると言って良いでしょう。そこは転勤族の多いコンパクトシティと言われる住むのに大変便利な奄美では「都会」です。しかし移住者が考える「奄美らしい」海があって、自然が豊かで、伝統文化が今も残っていて、人情味溢れる場所に住みたいと考える人が多いですよね。つまり周辺部の田舎になります。そこに不動産市場は殆どないのです。その地域内での「相対取引」顔と顔を合わせての信用取引しか存在しないのです。それと付け加えるならば現地では「登記」が結構いい加減で死んだ親の名義のままだったり、相続手続きしても基本兄弟が多い土地柄6人7人の共有名義の土地とか、持ち主の分からない土地の上に建物があったりと信じられない様な状況があります。だから不動産市場には乗らないし、また田舎の土地柄、外部者に簡単には貸してくれない警戒感もあるのです。ですから「相対取引」で家を借りたいと思うなら、ゲストハウスで半年間人間関係を作ってから、信頼感の上で借りるという形を取らなければならないと言われています。

「空き家バンク」の制度もあるにはありますが、自治体が本気でその制度を運用しているとは思えません。

そういう背景の中で、DIYで家を安く借りる、というのは案外現実的なのです。

先週、2年前転居されてきた70代のお父さんと娘さんの家に行ってきましたが、主にお父さんが大工仕事をした様ですが、こじんまりした家ですが実に綺麗な使い勝手の良い、住みやすい家でした。家賃は2万円だそうです。水回りとお風呂は業者に頼み80万円かかり、半額の40万円の補助金を使ったそうです。「東京から移住してきて、本当に心から満足している」と仰っていました。

そんな方法があるのかと、少しでも思っていただけたならこのコラムは良かったです。

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